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2005年 05月 29日
わりとよく行くジェラード屋がある。
以前よく出掛けたアウトレットモールにも、最近よく買い物に行くデパートにもお店がある。 妻はスタンプカードも持っている。 僕は甘いものが苦手ではない。 どちらかと言うと、いや、はっきり言って好きな方だと思う。 レストランで食事の後にパフェを頼んだりはしないが、スターバックスでは、コーヒーと一緒についクッキーなどを頼んでしまう。熱心な活動をする党員とまではいかないが、支持党は聞かれれば「甘党」と答える。 まあ、だいたいその程度の甘いもの好きである。(先日も妻に、「いちご大福」を食べたことがない人が甘党を名乗る資格があるのか、などと厳しい批判を受けたりしているところではあるが、この件はまた別の機会に) このお店では、Sサイズで2種類のジェラードを選ぶことができる。Mなら3種類、Lなら4種類とかなりのボリュームになるが、先に述べたように、そこそこ甘党の僕は迷わずSサイズを選択することになる。 しかし、「迷わず」なのはここまでで、元来、優柔不断である僕は、この2色のジェラード選びに毎回たいそう頭を悩ますことになる。 お店のショーケースには、実にたくさんの種類のジェーラードが並んでいる。バニラやチョコレート、ストロベリーといった定番のものから、オレンジやレモンのような柑橘類のさっぱり系(ジェラードといえばむしろこちらが定番か)、果ては黒ゴマやブルーソルトといったちょっと簡単には想像し得ないような味のものまでが、所狭しと並べられている。 もちろん、試食をすることも可能なのだが、だいの大人が何種類ものジェラードをテイスティングする姿は、少し思い描いただけでも格好が悪く、スマートな振りを装いつつ、頭をフル回転させながら、広大なショーケースの碁盤に必死に目を走らせるのである。 そんな状況に置かれた中で、たいした冒険的選択ができるわけもなく、結局「ミルク/チョコレート」というチョイスをする。「キャラメル」なんて美味しそうだなと思いつつ、何と合わせて良いかが全く想像できなくて断念してしまう。 僕はジェラードに限らず、食べることは高度な組合わせのデザインだと考えている。 おかずを口にした時には、次にどれくらいの量のご飯を入れれば、どのような味になるかを自然に想像しているし、さらにその先の味噌汁との予定的調和も計算されている。小学校の給食では、「三角食べ」なる指導があったが(パン-牛乳-おかず)、これができない友人が信じられなかった。おかずはおかずだけ、パンはパンだけ食べるのでは、食事におけるシナジー効果が微塵も堪能できていないではないか!おいしさが分かる以前のはなしとして、このセンスは非常に大事な食事に対する条件だと思う。 そんなことを考えながら食事をするので、妻にはいつも食べることに集中しすぎだと指摘を受ける。20年以上もこうやって来たので、さすがに他の事にも気を配りつつ、口に食べ物を運ぶことも可能だが、ついついこの編集作業の方に意識が集中してしまうきらいがある。イタリア人よろしく、会話を楽しみながらの食事ももちろん楽しいが、僕にとっては、さらに高度なデザインが要求されることになるのである。 こういうスタンスを取る以上(誰にか!?)、2色のジェラードの口の中でのハーモニーが大いに気にかかる。「ミルク/チョコレート」なら、間違いなく、マイルドなミルク・チョコ味が味わえる。ここは、バニラ・チョコではなく、ミルク・チョコがベターだ。 しかし、キャラメルには一体何をあわせれば良いというのだろうか。。。 これに対し、妻は、単純に今食べたいものを二つ選ぶ。この日の彼女の選択は、「チョコレート/カシス」。彼女に言わせれば、僕の思考は「左脳的過ぎる」らしい。 いくらなんでも、カシスにチョコレートは右脳的過ぎる!と思うのであるが、「意外な二つの混ざった味が美味しかったりする」という妻の意見も案外正しかったりするもので、食べたいものを2つ食べているだから、まあ、まずいはずはない。それに2つを別々に食べることだって(概念的には)可能なのである。 そんなことをいろいろと考えながら店内でジェラードを食べるので、食べながらも他の人の注文が気にかかる。 予想に反して、大胆な選択をする人は多いもので、ブルーソルトやピンクソルト、ワイルドチェリーなどといった一風変わった味が、バニラやチョコレートといったオーソドックスな味と組み合わされて注文されていく。こんなところで、左脳をフル回転させているのは、僕くらいなのだろうか? 果ては、「シチリアオレンジ/シチリアオレンジ」などという、選択肢も飛び出し、これなどは僕にはとうてい想像もつかない、究極の左脳的選択だと思ったりもする。 こんな調子で、北海道産の美味しい牛乳と濃厚なチョコレートのハーモニーを楽しんで、店を後にする。 帰り際まで、他人の注文が気にかかる。 「キャラメル/タピオカ」 なるほど、そういう手があったか。
by rystail
| 2005-05-29 20:41
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