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2005年 11月 21日
兵庫県への出張の折に、東京駅で糸井文庫を2冊も衝動買い。
「海馬-能は疲れない」 対:池谷裕二 「悪人正機」 対:吉本隆明 そもそも僕は、対談本が好きだ。話し言葉にはその人の魅力がダイレクトに伝わってくる感じがある。考えを書き言葉に置き換える際の「過剰な気合」が入っていない。特に糸井さんの対談は、その場の雰囲気に応じて(一見無駄な脱線も含めて)うまく話が流れるのがよく伝わってくる。相手とのやりとりから生まれる緊張感や理解の過程や新しい発見の瞬間など、予想もできないシナジー効果の生成現場に居合わした感覚がある。まあ、要するに難しい人の本でも理解しやすいのだ。 本来、ブログなんていうのは、考えの途中でその状況をそのままを書くのがいいんだろうと思いつつも、僕はずいぶんと書き言葉に捕らわれているなあと改めて実感。どうも「過剰な気合」が入ってしまう。こう意気込んでしまっては楽しく続かないぞ。。。 「海馬」でも語られているが、そういうことができる人の能力って、ほんとに「頭がいい」んだなあと思う。これまでの経験による引き出しの多さと、題材のつなげ方の妙がまさにプロなのである。それは何も、理路整然とつなげるということではなく、言葉をポンと置いてみるということも含めて、アクション-リアクションで全体を変容させていくのだ。 さらに、どの本も「生きることの楽しさの発見」を含んでいるのが、糸井対談の特徴である。糸井さんの生きる態度が会話からもにじみ出ていて爽快だ。 本を買った時は、「左脳的」な池谷対談と「右脳的」な吉本対談かと想像していたが、むしろ、常識を覆す独特の論理構築をする吉本さんが「左脳的」で、イラストやリラックスしたムードもあいまって、池谷さんの話が「右脳的」に頭に入ってきた。まあ、そもそも左脳も右脳もなく、印象=「的」なのだが。 2冊に共通して出て来た話題は幾つかあるが(そもそも糸井さんという個人で共有されている話題である)、「10年続ければ何でもモノ」になるというのが印象的。吉本さんの何の根拠もないがただ説得力のある説明と、池谷さんの何となくアバウトだけれど科学的な脳の説明。糸井さんは「30才の誕生日は人生の縮図だ」とも。うむ。今年の誕生日か。 今までの10年を振り返り、これからの10年を考える。 「海馬」よりメモ: ・手を使うことがいかにたくさん脳を刺激するか。「ホムンクルス」 ・「頭の良し悪し」の基準を「好き嫌い」で判断するとすっきりする。 ・一流人はたとえ話がうまい。 ・結びつき・つながりの発明 ・30歳を過ぎるとつながりを発見する能力が伸びる。 ・思い込みのストッパーをはずす。頑固が頭を悪くする。 ・情報を整理しすぎると消ええしまうものがある。事件性を増やすことで、はじめて対処することが増える。 ・「つらくてもおもしろいことをしたい人たち」が5分の4の人々を養う仕組みをつくってきた。 ・脳の組み合わせ能力はべき乗で発展。 ・町で生きているしたたかな知恵「ストリートワイズ」 ・空間的な概念が海馬に刺激を与える。 ・アメリカの都市計画もインターネットも「遠くは一気に近くにもなる」という発想。 ・本当のプロは新しい局面でも、周りの状況を敏感に察知して、自分の側の問題点を改良することで新しい価値観を持ち込む。専門家を自覚してつまらなくなるのは、今まで安定して自分の取り柄にしていたものの存在意義がなくなった時に自分の正当性を主張すること。 ・脳は自分の都合のいいように頑固に現実を解釈する。脳に逆らうことがクリエイティブ。 ・実際にやってみないと「やる気」は起こらない。 ・寝ている間に海馬は情報の組み合わせを検証している「レミネセンス」。夢を憶えていないのは現実との区別を保つため。 ・イニシアチブは受け手が持っている。 ・本当に思っていることは、どれだけ言えるのかを試すつもりで、未完成のままでもいいから書く。やりかけに見えるけれどもここまでは考えたという軌跡が全部残るので、あとでつながる。 ・いかに組合わせるかのプロセス。人生はいわば編集作業だ。偶発性を増やすことがコツ。暗黙の拘束を崩壊させる勇気。 ・ハエは方法は分からなくても、卵を産んで子孫を増やす。「わかる」の外にあるものが大事。 「悪人正機」よりメモ: ・「ってなんだ?」を考えてみる。 ・生きることの原点。「泥棒して食ったっていいんだぜ」 ・「これが一番いい」がない時代。 ・善意の人助けは浄土に往くまで不可能。(親鸞) ・「労働が人間の価値だ」なんて嘘。 ・あんまり焦らない方がいい。 ・浮浪者的「自由」への憧れは誰にでもある。視野を限定するものが少ない自由。 ・モテる距離とモテない距離がある。 ・有名になりたい気持ちは、宝くじを買うときの気持ちと同じ。 ・情報メディアで感覚は発達するが、精神が成長するわけではない。本当に重要なのは、人間の心とか魂とかに関わることだけ。 ・知りたい問題を「水」として「酸素と水素」にあたるその情報がなんなのかを見つけることができれば、たいていの問題は分かる。 ・外国語と方言は地続き。言葉の成立には全然根拠がない。 ・香水の香りを濃すぎるとちょうどいいとか言うことは民度が低い。 ・ごく当たり前なイメージであって、前衛的なものを取り入れているのが「おしゃれ」。
by rystail
| 2005-11-21 21:50
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